社長のコラム 今月のヒント

平成28年11月号

下手なやつはお前だ

どの世界でも一流と呼ばれる人は、ある言葉をきっかけに一段の成長を遂げていくものですが、俳優の高橋秀樹さんも、歌舞伎俳優の尾上松緑さんに言われた言葉は俳優人生の基本になったと語っています。
 「舞台を見ていると下手な奴がいるだろう。それが、お前だよ」です。
 高橋さんは時代劇を得意としていますが、当初は着物の着方も知りませんでした。日本舞踊の先生から学ぶとともに、歌舞伎などの所作の参考になるものは何でも見たそうです。
 その中での尾上さんの言葉だったのです。
 高橋さんは70歳を超えた今でもその気持ちは忘れることができないようです。言葉の意味は、
「うまいと思ったらダメ。一生、上を目指して稽古しろ」ということなのです。

 ともすると、役者は、ある程度上達すると他人の舞台を見て下手な役者だなとおもいがちです。
 慢心の心です。しかし、それは自分でもあるのです。慢心の心が、上達をはばみ、ダメにしていくのです。
 私たちも競争相手や同業者の仕事を見てたいしたことないと思ってはいないでしょうか。慢心の何物でもなく、それは自分に言っている言葉だと自覚する必要があると思います。