社長のコラム 今月のヒント

令和07年06月号

たった一言の約束

2017年秋の園遊会 陛下の前に現れたのはパラリンピックのメダリスト道下美里選手。陛下もジョギングをされると聞いた道下さんは、『いつか一緒に走れたらうれしいです』と。すると陛下は柔らかく微笑みながら、『ぜひ!』と即答。ただ、相手は天皇陛下。まさか本当に叶うとは思っていませんでした。数か月後、道下さんのもとに宮内庁から一本の電話。『陛下がぜひ一緒に走りたい』とおっしゃっています。
 そして、道下さんは赤坂御用地へ招かれ、約20分間、陛下に伴走をされて走るという夢の時間。けれど彼女が驚いたのは別のことでした。初めての伴奏に向け、陛下は専門書を読み、関係者に話を聞くなど、入念な準備を重ねていたのです。たった一人の国民との約束のために時間を惜しまず誠実に向き合われたその姿に道下さんは『この経験が人生で一番の宝物です』。道下さんは感謝と感動でいっぱいでした。これこそが国民に愛される真の天皇陛下の姿。そのやさしさと誠実さが心を打つのでしょう。